「この井戸は、古来よりその湧水の純度の高さと鍛刀に適した水温から時の刀鍛冶に愛され用いられたことが伝わっております。中でも特に有名なのが平安時代の名刀『髭切』(国宝)・『膝丸』。
社伝によりますと、伯耆国の刀匠・大原五郎太夫安綱がこの地で鍛刀する様に興をそそられた稲荷大神様が顕れ、共に”相槌”し、完成させたのがその二振りの兄弟刀だと伝わっております。
また、同じく国宝『三日月宗近』を作刀したことでも知られる三条小鍛冶宗近もこの井戸の湧水を鍛刀に用いたと社伝に記されており、当代の両横綱と称された二人の刀匠から愛された井戸であることがわかります。

また『八幡五水』の一つにも数えられ、かつては石清水八幡宮へ参詣する者はこの井戸で身を清めることを為されていたことなどを踏まえると、今なお枯れることなく清らかな湧水を湛える極めて貴重な歴史的・文化的遺産とも言えます。
どうかこのような貴重な井戸を後世に守り伝え続けていくため、皆様の温かいご支援、ご篤志を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

安全確保のため、蓋を開けてのご見学はご遠慮ください。